タクシー運転手の採用に健康診断は必要?

タクシー運転手の採用に健康診断は必要?

タクシー運転手を採用するとき、健康診断は原則として必要です。ただし、応募者が面接前に自分で健康診断を受けて診断書を提出しなければならない、という意味ではありません。会社が「常時使用する労働者」として雇い入れる場合、採用後に会社が雇入れ時健康診断を実施するのが基本です。

タクシー運転手の採用で健康診断が必要な理由

労働安全衛生規則第43条では、事業者に対して、常時使用する労働者を雇い入れたときの健康診断を義務付けています。タクシー運転手も、継続して勤務する従業員として採用される場合は、通常この対象になります。

労働安全衛生規則では、雇入れ時健康診断の項目として、既往歴・業務歴、自覚症状や他覚症状、身長・体重・腹囲、視力・聴力、胸部エックス線、血圧、貧血、肝機能、血中脂質、血糖、尿、心電図などを定めています。

この健康診断は、運転業務に就く人の健康状態を確認するだけでなく、会社が従業員の健康を管理し、病気の早期発見や業務上の配慮につなげるためのものです。

「採用選考」と「採用後の健康診断」は別

面接や採用選考の段階で健康診断書の提出を求めることと、採用後に雇入れ時健康診断を行うことは別の話です。

  • 採用後の健康診断:常時使用する労働者を雇い入れる場合、会社が実施するのが基本
  • 採用選考時の健康診断:応募者に一律で求める必要があるとは限らず、会社の採用方針や業務上の必要性によって扱いが異なる

そのため、「健康診断を受けて異常がなければ採用」という単純な仕組みとは限りません。採用可否は、免許の要件、運転業務を行える状態か、勤務条件に対応できるかなどを含めて、会社が総合的に判断します。

入社前に自分で健康診断を受ける必要はある?

会社から指定されていない限り、応募者が自分で健康診断を受けて診断書を用意する必要があるとは限りません。会社が指定する医療機関で受診する場合や、会社が費用を負担して入社手続きの一環として受ける場合もあります。

一方で、会社から「健康診断書を提出してください」と案内された場合は、次の点を確認してください。

  • 受診する医療機関の指定があるか
  • 健康診断書の有効期間や受診日の指定があるか
  • 必要な検査項目は何か
  • 受診費用を誰が負担するか
  • 提出期限と提出方法は何か

健康診断の内容や費用の扱いは会社ごとに異なるため、自己判断で受診する前に採用担当者へ確認すると、検査項目の不足や費用の重複を避けられます。

過去3か月以内の健康診断結果を使える場合がある

雇入れ時健康診断の前3か月以内に、必要な項目について健康診断を受けている場合は、その結果を証明する書面を提出することで、会社の判断により該当項目を省略できる場合があります。

ただし、手元の健康診断結果がそのまま利用できるとは限りません。検査項目、受診日、証明書の形式が会社の求める条件に合うかを確認してください。

タクシー運転手は健康診断以外の確認も必要

タクシー運転手として採用されるには、健康診断だけでなく、旅客自動車を運転するための免許や、会社が定める採用条件も確認されます。

たとえば、一般的には次のような事項が採用条件になります。

  • 第二種運転免許の有無、または入社後に取得する制度の有無
  • 普通自動車免許の取得時期や運転経験
  • 視力・聴力など、運転免許に関係する基準
  • 勤務時間、夜勤、隔日勤務などへの対応可否
  • 会社が定める健康状態や安全運転に関する確認

ここで注意したいのは、雇入れ時健康診断に合格すれば、必ずタクシー運転手として採用されるわけではないことです。健康診断は採用条件の一部であり、免許や勤務条件なども別に確認されます。

健康診断で異常があると採用されない?

健康診断で何らかの数値に異常があっただけで、直ちに採用不可になるとは限りません。再検査や医師の意見、担当できる業務、勤務時間の調整などを踏まえて判断されることがあります。

ただし、運転中の意識障害につながるおそれがある病気など、安全運転に直接関係する状態については、医師の判断や免許制度上の確認が必要になる場合があります。病名や検査結果だけで自己判断せず、採用担当者や主治医に確認してください。

また、会社が採用選考で健康状態を確認する場合でも、業務との関係がない事項まで一律に尋ねるとは限りません。応募時に提出を求められた書類の目的や、必要な検査項目が不明な場合は、提出前に会社へ質問できます。

応募者が確認する順番

  1. 求人票や採用案内で、健康診断書の提出時期と必要項目を確認する。
  2. 提出が必要な場合は、会社指定の医療機関、受診日、費用負担を採用担当者に確認する。
  3. 過去3か月以内の健康診断結果を使えるか、検査項目と受診日を伝えて確認する。
  4. 健康診断とは別に、第二種運転免許や入社後の免許取得条件を確認する。
  5. 持病や服薬が運転業務に影響する可能性がある場合は、主治医に運転の可否や注意点を相談する。

結論として、タクシー運転手を継続的に雇う場合、会社による雇入れ時健康診断は原則必要です。ただし、応募者が採用前に自費で受診する必要があるか、健康診断書だけで採用が決まるかは会社ごとに異なるため、受診前に採用担当者へ提出時期・検査項目・費用を確認してください。