タクシー運転手は有給休暇を取得できる?

タクシー運転手は有給休暇を取得できる?

タクシー運転手も、雇用されて働いている場合は有給休暇を取得できます。勤務日数や勤務時間などの条件を満たせば、正社員だけでなく、契約社員・パート・アルバイトのタクシー運転手にも年次有給休暇が付与されます。

ただし、個人タクシーのように会社と雇用契約を結ばず、事業者として働いている場合は、労働基準法上の有給休暇の対象にならないことがあります。

タクシー運転手に有給休暇が付く条件

有給休暇は、原則として次の条件を満たすと付与されます。

  • 雇い入れの日から6か月以上、継続して勤務している
  • その期間の全労働日の8割以上出勤している

この条件を満たすと、通常の労働者には勤続年数に応じた日数の有給休暇が付与されます。タクシー会社の勤務形態が隔日勤務やシフト制であっても、それだけを理由に有給休暇がなくなるわけではありません。

制度の基本的な条件は、労働基準法第39条に定められています。

勤務日数が少ないタクシー運転手も取得できる

週の所定労働日数が少ない場合は、勤務日数に応じて有給休暇の日数が少なくなる「比例付与」の対象になることがあります。週の勤務日数だけでなく、年間の所定労働日数や週の所定労働時間、雇用期間などによって扱いが決まります。

たとえば、正社員と同じような勤務日数・勤務時間で働く契約社員は、雇用形態が正社員でなくても、通常の労働者と同じ日数の有給休暇が付く場合があります。反対に、短時間勤務の場合は、所定労働日数に応じた日数になることがあります。

自分の付与日数を確認するには、雇用契約書、労働条件通知書、就業規則、給与明細や勤怠システムの有給残日数を確認します。

タクシー運転手の有給休暇の日数

週5日勤務または週の所定労働時間が30時間以上の労働者には、継続勤務年数に応じて次の日数が付与されます。

継続勤務年数 付与日数
6か月 10日
1年6か月 11日
2年6か月 12日
3年6か月 14日
4年6か月 16日
5年6か月 18日
6年6か月以上 20日

週の勤務日数が少ない場合は、上の表とは異なる比例付与の日数になります。また、付与日数は「会社に入社してからの年数」ではなく、原則として継続勤務期間と出勤率を基準に判断します。

隔日勤務でも有給休暇は1日単位で取得するのか

隔日勤務のタクシー運転手は、1回の勤務時間が長いことがありますが、休暇の単位は会社の所定労働日を基準に扱われます。勤務シフト上の1勤務を休むことで、年次有給休暇を1日使用する扱いになるかどうかは、会社の勤務制度や就業規則によって確認が必要です。

「隔日勤務だから有給休暇は使えない」「1回の勤務が長いから有給休暇を2日分使う」と一律に決まっているわけではありません。勤怠上の1日の扱い、有給休暇の申請単位、賃金の計算方法を会社に確認してください。

会社は有給休暇の取得を断れるのか

会社は、労働者が請求した時季に有給休暇を与えるのが原則です。ただし、その時季に休まれると事業の正常な運営を妨げる場合には、会社が別の時季に変更することがあります。これを「時季変更権」といいます。

タクシー会社では、同じ日に休む運転手が集中して配車や営業に大きな支障が出る場合などが問題になる可能性があります。しかし、単に「人手が足りない」「忙しい」という理由だけで、恒常的に有給休暇を取得させない扱いが適切とは限りません。

会社から変更を求められた場合は、次の点を確認します。

  • 希望した日と、変更を求められた理由
  • 代わりに取得できる日
  • 就業規則や会社の申請期限
  • 同じ職場で有給休暇の取得がどのように扱われているか

退職日が決まっている場合など、別の日に変更できない事情があるときは、会社と具体的な取得日を早めに話し合うことが大切です。

年10日以上の有給休暇が付く人には取得義務もある

年次有給休暇が10日以上付与される労働者については、会社は毎年5日を取得させる義務があります。本人がすでに取得した日数や、労使協定による計画年休の日数は、この5日に含まれます。

この制度は、タクシー運転手にも適用されます。勤務シフトを理由に、有給休暇をまったく取得させない運用はできません。

ただし、会社が5日を指定する場合でも、労働者の意見を聴き、希望を尊重する必要があります。自分で取得した有給休暇が5日に達している場合は、会社が同じ年に重ねて5日を指定することはできません。

有給休暇を取った日の給料はどうなるか

有給休暇を取得した日は、働かなくても賃金が支払われます。具体的な計算方法は、就業規則や労使協定などにより、通常の賃金、平均賃金、健康保険の標準報酬月額を基にした額のいずれかが使われます。

タクシー運転手は、固定給に加えて歩合給、手当、深夜勤務に関する賃金などが支給されることがあります。そのため、実際の有給休暇1日分の金額が、普段の売上や歩合をそのまま反映するとは限りません。

有給休暇を取った月の給与が想定より少ない場合は、給与明細と就業規則を確認し、会社に「有給休暇の賃金をどの計算方法で算出したか」を尋ねてください。

有給休暇を取れないときの確認手順

取得を拒否されたり、申請方法が分からなかったりする場合は、次の順番で確認します。

  1. 雇用契約書や就業規則で、有給休暇の付与日数と申請方法を確認する。
  2. 給与明細、勤怠記録、シフト表などで、付与日数と残日数を確認する。
  3. 希望する取得日を、会社が定めた方法で申請する。
  4. 拒否や変更を求められた場合は、理由と代替日を確認する。
  5. 解決しない場合は、労働基準監督署や総合労働相談コーナーなどに相談する。

会社とのやり取りでは、申請日、希望日、会社の回答、拒否理由をメールやメモで残しておくと、事実関係を説明しやすくなります。

個人タクシーは有給休暇の扱いが異なる

個人タクシー事業者のように、自分で事業を営み、会社に雇用されていない場合は、労働者としての年次有給休暇が付与される立場とは異なります。

一方、タクシー会社に所属していても、契約書上の名称だけで労働者かどうかが決まるとは限りません。会社の指揮命令を受けて働いているか、勤務時間や仕事の進め方を自分で決められるかなど、実際の働き方を含めて判断されます。

会社に雇用されるタクシー運転手は、条件を満たせば有給休暇を取得できます。まずは雇用契約書と勤怠記録で付与日数・残日数・申請方法を確認し、取得を断られた場合は理由と代替日を記録してください。