タクシー運転手も、会社に雇用されている労働者であれば有給休暇を取得できます。正社員だけでなく、契約社員やパート・アルバイトでも、一定の条件を満たせば対象です。取得できる日数や申請方法は、勤務日数、勤続期間、会社の勤務シフトによって異なります。
タクシー運転手が有給休暇を取得できる条件
有給休暇は、原則として次の2つの条件を満たした労働者に付与されます。
- 雇入れの日から6か月継続して勤務している
- その期間の全労働日の8割以上出勤している
その後は、勤続年数に応じて有給休暇の日数が増えます。たとえば、週5日勤務または年間217日以上勤務する労働者には、勤続6か月で10日が付与されます。
タクシー会社の正社員として勤務している場合は、通常、この条件に該当するかを会社の勤怠記録で確認します。欠勤、休職、遅刻などの扱いによって出勤率の計算が変わることがあるため、付与日数が分からない場合は給与担当者や就業規則を確認してください。
勤務日数が少ないタクシー運転手も有給を取得できる
週の勤務日数が少ない場合でも、一定の条件を満たせば勤務日数に応じた有給休暇が付与されます。これは「比例付与」と呼ばれる仕組みです。
| 週の所定労働日数 | 勤続6か月後の有給休暇 |
|---|---|
| 5日 | 10日 |
| 4日 | 7日 |
| 3日 | 5日 |
| 2日 | 3日 |
| 1日 | 1日 |
上の表は、週の所定労働時間が30時間未満で、週の所定労働日数が4日以下などの労働者に適用される基本的な日数です。実際には、週の勤務日数、年間の所定労働日数、勤続年数によって日数が決まります。
隔日勤務や夜勤がある場合でも、雇用契約に基づく労働者であれば、有給休暇の制度自体がなくなるわけではありません。ただし、1回の勤務時間が長い勤務形態では、取得日をどのように扱うかを勤務表や就業規則で確認する必要があります。
有給休暇を取るときの賃金はどうなる?
有給休暇を取得した日は、原則として賃金が支払われます。支払われる金額の計算方法は、会社が就業規則などで定めた方法によって異なります。
タクシー運転手の給与には、固定給のほかに歩合給、手当、深夜勤務に関する賃金などが含まれることがあります。そのため、実際の支給額が通常勤務の日と同じになるとは限りません。会社の賃金規程で、年次有給休暇を取得した場合の賃金計算方法を確認してください。
有給休暇を取得したことを理由に、歩合給を不当に減らしたり、欠勤として扱ったりすることはできません。ただし、有給休暇の日に実際の営業収入が発生しないため、通常の勤務日に付く一部の手当が支給対象外となるかは、賃金規程や手当の性質によって判断されます。
会社はタクシー運転手の有給取得を拒否できる?
会社は、労働者が指定した時季に有給休暇を取得させる義務があります。ただし、その日に休まれると事業の正常な運営が大きく妨げられる場合は、会社が取得時季を変更することがあります。これは「時季変更権」と呼ばれます。
たとえば、同じ日に多数の運転手が休み、必要な乗務員を確保できない場合などは、別の日に変更される可能性があります。ただし、単に「忙しいから」「人手が足りないから」という理由だけで、恒常的に有給休暇を取らせない扱いが認められるとは限りません。
会社が時季を変更する場合でも、有給休暇そのものを消滅させるのではなく、別の日に取得できるようにする必要があります。申請した有給が毎回拒否される場合は、申請日、会社の回答、勤務表などを記録しておくと、事実関係を整理しやすくなります。
年10日以上の有給が付与される人には取得義務もある
年10日以上の有給休暇が付与される労働者については、会社はそのうち5日を、付与日から1年以内に取得させる義務があります。本人が自分で5日取得した場合は、その日数が会社の義務に充てられます。
タクシー運転手についても、正社員などで年10日以上の有給休暇が付与される場合は、このルールの対象です。会社が勤務表を作成して有給取得日を指定することもありますが、指定する際は、労働者の意見を聞く必要があります。
一方、年10日未満しか付与されない場合は、この「年5日の取得義務」の対象には通常なりません。ただし、付与された有給休暇を申請して取得する権利は、別に認められます。
個人タクシーは有給休暇の対象にならない場合がある
有給休暇が法律上付与されるかどうかは、タクシーを運転しているかではなく、会社との契約関係によって決まります。
| 働き方 | 有給休暇の扱い |
|---|---|
| タクシー会社に雇用されている運転手 | 条件を満たせば有給休暇を取得できる |
| 契約社員・パート・アルバイトの運転手 | 条件を満たせば勤務日数に応じて取得できる |
| 個人タクシーの事業者 | 自分を雇用する会社がなければ、労働者としての有給休暇は通常ない |
| 業務委託契約の運転手 | 契約形式だけでなく、実際の働き方によって判断される |
業務委託契約でも、勤務時間や勤務場所を会社から細かく指定され、仕事の依頼を断れず、会社の指揮命令を受けているなど、実態として労働者に近い場合があります。この場合に労働者に当たるかは、契約書の名称だけでなく、実際の働き方を総合して判断します。
有給休暇を申請するときの確認ポイント
まず、雇用契約書や就業規則、給与明細などで、有給休暇の残日数と付与日を確認します。残日数が分からない場合は、会社に「現在の有給休暇の残日数と、次回の付与日を確認したい」と伝えると具体的です。
- 有給休暇の残日数と付与日を確認する
- 休みたい日を決める
- 会社指定の方法で申請する
- 承認または時季変更の回答を確認する
- 給与明細で有給分の賃金が反映されているか確認する
申請方法は、申請書、勤怠システム、上司への申し出など、会社によって異なります。口頭で申請した場合は、後から確認できるよう、申請日と内容をメモしておくと安心です。
有給休暇を取れないときの相談先
会社が有給休暇の申請を理由なく拒否する、取得した日を欠勤扱いにする、残日数を教えないといった対応をしている場合は、まず会社の人事・労務担当者や直属の上司に、申請内容と就業規則を確認します。
解決しない場合は、勤務先を管轄する労働基準監督署や、都道府県労働局の総合労働相談コーナーに相談できます。相談する際は、雇用契約書、給与明細、勤務表、有給休暇の申請記録、会社からの回答を準備しておくと、状況を説明しやすくなります。
結論として、会社に雇用されているタクシー運転手は、勤続期間と出勤率などの条件を満たせば有給休暇を取得できます。取得日数は勤務日数と勤続年数、取得しやすさは勤務シフトや人員状況によって変わるため、最初に雇用契約書や就業規則で残日数と申請方法を確認してください。







