タクシー運転手でも、会社に雇用されている労働者であれば、条件を満たすことで有給休暇を取得できます。勤務日数が少ないパート・アルバイトの運転手も、所定労働日数に応じて付与されます。一方、個人タクシーなど会社に雇用されていない事業主には、労働基準法上の年次有給休暇はありません。
タクシー運転手に有給休暇が付与される条件
会社に雇用されているタクシー運転手は、原則として次の条件を満たすと年次有給休暇が付与されます。
- 雇入れの日から6か月以上継続して勤務している
- その期間の全労働日の8割以上出勤している
有給休暇は、正社員だけの制度ではありません。契約社員、嘱託社員、パート、アルバイトなどでも、雇用契約に基づいて働いていれば対象になります。
出勤率の計算では、業務上の負傷や疾病による休業、産前産後休業、育児休業、介護休業など、法律上出勤したものとして扱われる期間があります。実際の計算方法が分からない場合は、給与明細や勤怠記録だけで判断せず、会社の担当部署に確認してください。
有給休暇の日数は勤務日数や勤務時間で変わる
週5日程度勤務する一般的なタクシー運転手には、継続勤務年数に応じて次の日数が付与されます。
| 継続勤務年数 | 付与日数 |
|---|---|
| 6か月 | 10日 |
| 1年6か月 | 11日 |
| 2年6か月 | 12日 |
| 3年6か月 | 14日 |
| 4年6か月 | 16日 |
| 5年6か月 | 18日 |
| 6年6か月以上 | 20日 |
週の勤務日数が4日以下で、週の所定労働時間が30時間未満の場合は、勤務日数に応じて少ない日数が付与されることがあります。隔日勤務など、タクシー会社特有の勤務形態でも、実際の所定労働日数を基準に判断します。
隔日勤務でも有給休暇は使える
隔日勤務だからといって、有給休暇が使えないわけではありません。有給休暇は、原則としてその日に働く義務を免除する制度です。
たとえば、勤務日と勤務日でない日があらかじめ決まっている場合、有給休暇を使えるのは原則として所定労働日です。もともと休日である日に有給休暇を申請して、休暇日数を増やすことはできません。
ただし、会社の勤務表の作成方法や、1回の勤務を何日分の勤務として扱うかによって、処理が異なる場合があります。申請前に、就業規則や会社の有給休暇の取扱いを確認しましょう。
有給休暇を申請したら会社に断られることはある?
会社は、労働者が指定した時季に有給休暇を取得させることが原則です。ただし、その時季に休暇を与えると事業の正常な運営を妨げる場合、会社は別の時季に変更することがあります。これは「時季変更権」と呼ばれます。
タクシー会社では、繁忙期や乗務員の欠勤が重なる時期などに、勤務調整が必要になることがあります。しかし、単に「人手不足だから」という理由だけで、常に有給休暇を認めない扱いが適法になるとは限りません。
会社から変更を求められた場合は、次の点を確認してください。
- 希望した日が会社の定める休日ではなく、所定労働日か
- 変更の理由が具体的に説明されているか
- 代わりの取得日を提示されているか
- 就業規則や労使協定に特別な取扱いがあるか
タクシー運転手の有給休暇中の給料はどう計算される?
有給休暇を取得した日も賃金の支払いがあります。ただし、通常の乗務日に受け取る金額と同じになるとは限りません。
有給休暇中の賃金は、会社の就業規則などに定められた方法により、一般に次のいずれかで計算されます。
- 平均賃金
- 通常の賃金
- 健康保険の標準報酬月額を基準にした金額
タクシー運転手は、固定給に加えて歩合給、深夜勤務手当、時間外勤務手当などが含まれることがあります。そのため、有給休暇の日に歩合給がそのまま支給されるかどうかは、給与規程や賃金の計算方法によって異なります。
「有給を取ると歩合分まで含めていくらになるか」を知りたい場合は、給与明細だけでなく、就業規則、賃金規程、雇用契約書を確認してください。
年5日の有給休暇取得義務にも注意
年10日以上の有給休暇が付与される労働者については、会社は毎年5日を取得させる義務があります。本人が自分で取得した日や、会社と相談して決めた日もこの5日に含まれます。
週の勤務日数が少なく、年間の付与日数が10日未満の場合は、この会社による年5日の取得義務の対象外です。ただし、本人が有給休暇を取得できる権利までなくなるわけではありません。
個人タクシーの場合は有給休暇の扱いが違う
個人タクシーの事業主のように、会社と雇用契約を結ばず、自分で事業を営んでいる場合は、労働基準法上の年次有給休暇は付与されません。有給休暇は、雇用されている労働者を対象とする制度だからです。
ただし、業務委託契約などの名称で働いていても、実際には会社から勤務時間や仕事の進め方を細かく指示され、報酬を受け取っているなど、働き方の実態から労働者と判断される可能性があります。契約書の名称だけで決めず、実際の勤務実態を確認する必要があります。
有給休暇を使えないと言われたときの確認手順
- 雇用契約書や労働条件通知書で、雇用契約を結んでいるか確認する。
- 入社日、勤務日数、出勤率を確認し、有給休暇の付与条件を満たしているか計算する。
- 給与明細や有給休暇管理簿で、残日数と取得日を確認する。
- 就業規則や社内の申請方法を確認し、希望日を記録が残る方法で申請する。
- 拒否や変更を求められた場合は、理由と代替日を確認し、やり取りを保存する。
会社が有給休暇の取得を一律に禁止する、取得したことを理由に不利益な扱いをする、残日数を説明しないといった場合は、労働基準監督署や都道府県労働局の総合労働相談コーナーなどに相談できます。
結論として、雇用されているタクシー運転手は、勤務期間と出勤率の条件を満たせば有給休暇を取得できます。まずは雇用契約書、勤務実績、給与明細、就業規則を確認し、自分の雇用形態と付与日数を整理しましょう。







